newNAPPAFUKU-20 (20210619)

newNAPPAFUKU-20 (20210619)

 

 早いもので第20号まで進んだ。

 この「new NAPPAFUKU」は自分の「人生のプログラム」を訪ねる物語である。


 大学受験失敗後、業務に精励した、その前後に担当した仕事を思い出して掲載する。これは自慢ばなしのように聞こえるかもしれないが、そうではなく「人生のプログラム」の一つとしてとらえていただければと思う。

 

「この仕事はなぜ自分の下にやってきたのか?」

話が長くなるので➀②と③④の2回に分ける。

 

同軸ケーブルの使い方
 TV用ブラウン管試験機を作った。この仕事は本来なら他班が担当する製品であるが、なぜか私班で担当することになった。その中にTV映像信号をブラウン管試験用の10個の端末へ伝送する配線がある、これに同軸線3Ç2Vをつかって配線した。全長は30mくらいだったか。
 各部のテストをしたが、その中にこの映像信号を送るテストがあった。各端末に映像信号がきちんと届いているかの周波数特性である、測定器を使って測定データを取った、映像信号なので確か4.5MHz信号、測定してみるとこれが端末まで届いているところもあるが届いていないところもあり規定内に入らない。配線は間違ってないし、どうしてもその原因がわからなかった。それで信頼する研究部の先輩OK氏に、無理をお願いし日曜日に出勤してみてもらった。
 一通りの測定状態を見てもらて、「配線はどうなってるのか?」と聞かれて説明したところ、「そらあかんで」と一言、実際の配線はTV映像出力信号出口から1本で出て試験端末が上5台、下5台に分かれているので一本線を上下2本に別け、そこから中継して(枝分かれ)各端末に配線してある。(言葉でわかりにくいが)結論から言えば、2本線で上下平行に配線したのではダメで、最初から最後までずーと一本線で引っ張り、途中から枝分けして各端末へいれる、とのことだった。それで引っ張り直して再測定、そうしたら「あーら不思議!」各端末には規定の信号が来ているのが確認できたではないか。そして、同軸線の末端(終端)には75Ωでターミネートする、というのが正しい配線方法だったのである。

 回路図には75Ωもなければ、配線方法も書いてない、接続線は描いてあるが両端の端末が記載して途中は省略してある、注意事項もない。これは初めて知った同軸線の配線ノウハウであった。
 オーデイオでは大先輩であったOK氏、さすがだ。ついでにオーディオ回路とTV映像信号の分配(信号伝送)の違いも教わった。この時の説明は今も私のアンプ製作に生きており、私の配線方法(線の引き回し)は、一般的な配線方法とは一寸違うところがある。

 

②パルスカウンターの製品化
 これも何故だか私のもとにやってきた製品で真空管を使ったパルスカウンター(カウント数や周期を測定する装置)、これはシンチレーションカウンターを手掛けていたから私の下にやってきたのだと思うが。

 その頃はまだ豆ネオン球を10個縦に並べてどこに点灯するかで数値を表していた、数字表示管(ニキシー管)が開発される前である。
 研究部で試作品ができて、それを見ながら製品化することであった、筐体や板金加工は元図があり、製作しやすいように設計変更したが、問題はカウンターユニットであった、これには10MHz、1MHz、 100kHzの3種類あって、順に並べて8桁を構成する。つまり10M-1M-100k-100k-・・・とユニットを8桁分並べる。

 当時はまだプリント基板が無く厚いベーク板を加工して基板のようにしてつかっていた。
 簡単な100kユニットには真空管5本(だったか?)だが、問題は複雑な10Mユニット、真空管は倍の10本程使ってあり、組み立ても複雑、簡単に10MHzで動いてくれない、うっかり配線を間違うと後のやり直しが出来ないので使いもののにならないという代物であった。

 今ではオーディオ用真空管としてよく知られている「6BQ7A」「6DJ8」「5687」などが使われていた。しかも球を選別しエージングしないと10MHzで安定に動いてくれなかった。この時初めて真空管の入力容量、内部抵抗、スイッチング速度など、オーディオにはあまり影響ないこともパルス回路では随分影響することがわかった、結局、配線方法(短く配線)、球の選別、エージングが安定動作に大切なことがわかった。

 この時に、今ではOTLアンプによく使われる「6080」(当時は最新の球)を定電圧電源レギュレーター管に初めて使ったのがなつかしい。(高価な球だった!)