new NAPPAFUKU-9(20210607)

退任した頃から(3)

 

 それから2~3年後、業績回復が見えた頃に「人員整理」の責任を取る形で、22年前、私60歳で社長実務は後輩に譲り、会長に退いた。

 

 「生涯現役」、この「現役」とは何を意味するのか、どんな状態をいうのか? あれこれ思案している内に、あるときフト思いついたことが有った、それは「何かに執着している、何かにこだわっている、何かから離れられないでいる、がんじがらめにとらえられている」といったようなことだった。

 

 結論からすると、私に取りついていた魔物の正体は「創業者、代表取締役、社長」という20数年来、勤めてきた立場、役割、責任感、といったものであった。前号でも書いたが、まさに「車は急に止まれない」自分がいた。

 気持ちも切り替え、実質的にも私が使っていた机椅子、場所や報酬もすべて新社長に渡した。

 

 そう、魔物は自分の中にいたのだ、と気が付いたら早いもので残っていた社長気分はどこかに消えてしまった、それでようやく会長たるは何なのか、会長の役割が見えてきた。
 「そうだ! 元気で働いていること」だ、「元気で出社していれば皆さん安心してくれる」「社長では出来ないことをやる、これからはもっと他のために働く」ことではないか」と納得した。

 

 思いがけなく、私に時間的・精神的に余裕ができてきた、それでかねてから考えていた放送大学の門をたたいた。